2017年12月25日月曜日

イラスト『メリクリ!』

題材
 『クリスマス』

登場品種  
 山形97号  『つや姫』

「つや姫サンタが新米お届け!」

クリスマスイラスト。
めりくり!

本当は後ろに『はえぬき』『雪若丸』も描くはずでしたが…
うん…
手抜きのイラストは本当によくわかりますね。

2017年12月20日水曜日

【粳米】岩手107号~銀河のしずく~ 【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『岩手107号』
品種名
 『銀河のしずく』
育成年
 『平成27年(西暦2015年) 岩手県 県農業研究センター』
交配組合せ
 『奥羽400号×北陸208号』
主要産地
 『岩手県』
分類
 『粳米』
『銀河のしずく』ですよ~!



白くてつややか、かろやかな食感


岩手県ブランド米戦略”銀・金”の双璧を成す『銀河のしずく』の擬人化です。


どんな娘?

ちょっと打たれ弱くて生真面目な金色の風とは対照的なお姉ちゃん。
良く言えば些細なことは気にしないおおらかさ、悪く言えばちょっといい加減な性格を持っていますが、あくまでも妹を盛り立てる心遣いだけは決して忘れません。

岩手県出身で初めて大々的に表舞台に出ただけあって、先輩品種にも物怖じしない度胸も兼ね備えた娘です。


概要

粒が大きく、粘りが程よくかろやかな食感、冷めても変わらない美味しさの品種です。

立場としては姉になるのですが、最高級路線を歩む妹『金色の風』の次点ポジション…なのかな?
…山形県の”姫・若”だって負けな(略

岩手県中部、および沿岸部で作付可能な良質良食味の岩手県オリジナル品種として、主に『あきたこまち』からの作付転換を担います。
食味ランキングでの特A獲得等、順調に評価を上げることに成功しており、相対取引価格も県内で高い部類となっています。(R5現在)
令和5年(2023年)に全農岩手県本部発表によれば、令和8年(2026年)までに販売数量を5万トンまで延ばす計画だそうで、代わりに県内の『あきたこまち』や『ひとめぼれ』は減産となる見込みです。

ロゴマークの八角形は”米”そのものを表現。また、”お米を作り上げる八十八の工程”、”末広がりの未来へ”の意味を込めて。そして八角形の角を丸くし、色にニュアンスを加えることで食味の特徴である「かろやかな口あたり」「ほのかな甘味」を表現しているとのこと。
八角形の紋様は、上部のひし形は”銀河の星の輝き”を、下部は”こぼれ落ちるしずく”を表現しています。
ロゴマークの9色には以下のような10の美味しいお米のポイントを表しています(順不同)。
…9色なのにポイントは10あるとはこれ如何に?
妹に当たる『金色の風』と同じ…ようで同じでなかったりします。

ポイント意味
無色改良白さと良食味を追求した品種改良
太陽稲の生長を促す輝く太陽
灰色銀河美味しいお米を育む銀河の夜空
濃い水色澄んだ空気、爽やかに広がる夜空
大地元気な稲がすくすく育つ豊かな大地
肥料美味しいお米を育てる肥料設計
水色清らかな水をたたえるたくさんの川
茶色たい肥や稲わら等による土づくりの徹底
桃色お米づくりに関わる人々の愛情
黄色豊かな稔り黄金色に輝く稲穂の波

よくよく見るとロゴタイプデザインにも細かな表現がありました。
『銀河のしずく』の
・『河』のさんずいにはしずくのデザインがあり”美しい銀河から今まさにこぼれ落ちようとするしずく”を表現。
・「ず」の濁点もしずくに見立てた表現になっています。
”ずっと見ていても飽きのこない、やさしく軽やかでありながら味わい深く、生命観をも感じさせるお米の食味を表現したロゴタイプ。”


育成地での出穂期・熟期は『あきたこまち』より2~3日遅い「中生の中」。
耐倒伏性「やや強」、耐冷性「極強」、耐病性「やや強」と栽培特性も優れます。


名称公募

平成27年(2015年)、主力オリジナル品種が不在だった岩手県で、農家待望(だと想像)となる食味ランキングで特A獲得が期待される新品種『岩手107号』の名称公募が開始されます。

公募のポスターによる「岩手107号は、こんなお米です」による宣伝文句は
「黄金の國、いわて。」が育んだ、白く艶やかに炊きあがるお米
心地よい食感がもたらす、あっさりとした粘りと噛むほどに広がる甘み
食味ランキング最高位の「特A」評価が期待できる、岩手県待望の新品種
「岩手107号」は、岩手の本気が生んだ、食卓の新しい主役となるお米です。
というものでした

募集期間は平成27年(2015年)7月1日~7月31日の間で、はがきか専用ホームページからの応募ができました。
最優秀賞(1名)には賞金10万円と『岩手107号』60kg、優秀賞(1名)に賞金5万円と『岩手107号』10kgが用意されていました。

名称公募への応募数は県内外、そして海外からの応募も含めた8,168件。
この中から名称選考委員会が候補名称を12点まで絞り込み、さらにそこから消費者等からの意見も踏まえて、選考を進めました。
そして最終的に平成27年(2015年)11月26日、盛岡市の「エスポワールいわて」で開催された新名称発表会において新品種名『銀河のしずく』が発表されました。


名前の由来は
【銀河】 …キラキラと光る星空から、お米一粒一粒の輝きをイメージ。
      また、宮沢賢治の作品のタイトルから「岩手」をイメージ。
【しずく】…お米の白さ、つや、美味しさを表現。



ロゴマークは平成28年(2016年)3月25日、「生産・販売キックオフイベント」において発表されています。(ロゴが持つ意味は前述の通り)


育成経過

育成開始当初、岩手県では『ひとめぼれ』『あきたこまち』の2品種が作付面積の約8割を占め、日本穀物検定協会の食味ランキングにおいても特Aを獲得するなど、良質米を生産していました。
しかし、対して岩手県オリジナル品種は1割以下の作付面積でしかなく、食味ランキングでも特A獲得に至らない状況が続いていました。


岩手県中部及び沿岸部で主力でありながら耐冷性・耐病性に劣る『あきたこまち』に代わる良質良食味品種の早急な育成と普及が求められていました。

ということで
平成18年(2006年)県中央部向けの良食味米の開発を主眼に母本『奥羽400号』、父本『北陸208号』として人工交配、得られた種子は51粒。
母本の『奥羽400号』は耐冷性と耐病性に優れ、父本の『北陸208号』は『コシヒカリ』並みの良食味が特徴でした。

同年12月から翌平成19年(2007年)4月まで、温室内でF1の29個体を養成。
同じく平成19年(2007年)は世代促進。
F1から得られたF2種子は全粒採種、全量混合播種。
F2の養成個体は700個体。
F3世代は2,000個体養成。
平成20年(2008年)に2,000個体を一株一本植えで選抜を開始。
圃場で短稈かつ強稈の優れた草姿の個体70個体を選抜し、さらにその中から玄米品質に優れる13個体を選抜。
平成21年(2009年)、前年度選抜した13個体を系統として、1系統につき40個体を系統養成。
葉いもち病圃場抵抗性検定及び耐冷性検定をこの世代から開始。
13系統の中から圃場で草姿の良い9系統を選抜し、さらに「味度値」「耐冷性」「玄米品質」に優れる3系統が選抜されます。
この3系統からさらに3個体/1系統選抜しました。
(平成22年(2010年)には選抜された13個体に対して食味試験を実施…と公式HPには記載ありますが、これは間違いのようです。)
平成22年からはF6~F7世代が生産力検定に供試されます。(食味試験もここで)
対象は前年度選抜された3系統9個体。これを3系統群9系統として系統養成。
いずれも収量性が高く耐病・耐冷性に優れていたため、1系統群あたり1系統5個体を選抜し、各系統群に『岩1077』(後の『銀河のしずく』)、『岩1078』、『岩1079』の番号が付されます。

平成23年(2011年)に前年の3系統15個体を3系統群・15系統として系統養成を行い、2系統群から2系統10個体が選抜されます。
平成24年(2012年)、場内の生産力検定及び特性検定、加えて山形県農業総合研究センターでの系統適応性検定の結果から『岩1077』は『岩手107号』の地方系統番号が付されます。奨励品種決定調査供試系統として配布されます。
この年は2系統10個体を2系統群・10系統として系統養成→1系統群当たり1系統5個体を選抜します。
平成25年(2013年)~平成26年(2014年)は1系統5個体を1系統群5系統として各90個体を栽培。奨励品種決定調査・特性検定が行われます。

いろいろあって

平成27年(2015年)に岩手県の奨励品種に採用。

『ヒメノモチ』の適地を除き、県中央部の『あきたこまち』『ひとめぼれ』からの置き換えが予定されています。





系譜図




岩手107号『銀河のしずく』 系譜図


参考文献


○銀河のしずく公式HP:https://www.junjo.jp/ginganoshizuku/

○水稲新品種「銀河のしずく」の育成:岩手県農業研究センタ-研究報告




【粳米】岩手118号~金色の風~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『岩手118号』
品種名
 『金色の風』
育成年
 『平成28年(西暦2016年) 岩手県 県農業研究センター』
交配組合せ
 『Hit1073×ひとめぼれ』
主要生産地
 『岩手県』
分類
 『粳米』
「金色の風、『銀河のしずく』とともに”岩手県銀・金”、よろしくお願いします。」


黄金の國から全国へ美味しい新風を吹き込む。



岩手県ブランド米戦略”銀・金”の双璧を成す『金色の風』の擬人化です。


どんな娘?

銀河のしずくの妹(直接的な血の繋がりは無い)。
妹という立場ではありながら、自分が岩手県のトップに立たなくてはならないという重責に銀河のしずくの後押しを受けて頑張って立ち向かっています。

生真面目でちょっと神経質なところがあるせいで、何かをする際に少し手が縮み気味になり、成果が上がらないこともチラホラ…
ただしそれは自分の力を冷静に見つめ、対処しようと必死に頑張っている事の表れでもあります。


概要

高品質の『ひとめぼれ』(食味ランキング連続特A)の産地ながらも主力となる高品質かつオリジナルの品種が不在だった岩手県。
その岩手県が『銀河のしずく』に続いて打ち出す真打、それが彼女です。

品種名の『金色の風』は平成28年(2016年)12月8日発表。
平泉町の世界遺産・中尊寺金色堂やたわわに実った稲穂をイメージし、日本の食卓に新しい風を吹き込むという願いを込めて。

ロゴマークのデザインは(株)純情米いわてが手掛けました。
流線型の金色に彩られた風が一粒のお米をやさしく包み込むイメージを表現しています。
また、風が舞うように配置された10個の色面は、お米の美味しさを生み出す10のポイントを象徴しています。
姉に当たる『銀河のしずく』と同じ…ようで同じでなかったりします。

ポイント意味
ハイテク最新の科学技術を用いて開発
太陽稲の生長を促す輝く太陽
銀河美味しいお米を育む銀河の夜空
濃い水色澄んだ空気、爽やかに広がる夜空
大地元気な稲がすくすく育つ豊かな大地
黄緑肥料美味しいお米を育てる肥料設計
水色清らかな水をたたえるたくさんの川
橙色たい肥や稲わら等による土づくりの徹底
桃色お米づくりに関わる人々の愛情
黄色豊かな稔り黄金色に輝く稲穂の波


アミロース含有率は15%前後の低アミロース米…なのかどうかかなり微妙なライン(H26~H28平均で15.7%)。
(低アミロース米はアミロース含有率が15%以下のものを言う…と管理人は勝手に考えている)※コメント欄参照~解釈は様々あるようです~
母本の『Hit1073』は『ひとめぼれ』の突然変異、そして父本は『ひとめぼれ』と岩手県主力であった『ひとめぼれ』の低アミロース化改良品種”スーパーひとめぼれ”とも言えるでしょう。(下系譜図参照)だけど本当の”スーパーひとめぼれ”は他に居たりする。
ほどよい粘りとふわりとした食感、そして豊かな甘み。
農研開発の『ミルキークイーン』や北海道の『ゆめぴりか』、さらに同期では宮城県の『だて正夢』が同じ方向性…かな?


もともと高品質米栽培でポテンシャルの高い岩手県。
この『金色の風』は「相対取引価格で全国5位以内」を目指すと言うほど意気込みと自信(?)を感じます。
『金色の風』『銀河のしずく』基礎能力の高い二種の新主力品種参入でこの米戦国時代に凱歌を上げられるかどうか、注目・・・でしたが
令和5年(2023年)時点で生産量は1,000トンを上限としてあまり拡大できておらず、苦戦が窺えます。


【何れも育種における試験値】
育成地に於ける熟期は『ひとめぼれ』内の「晩生の中」です。
稈長は約87.8cm、穂長は約19.8cmと『ひとめぼれ』並で、偏穂数型の品種です。
穂数も『ひとめぼれ』とほぼ同等ながら、1穂籾数が明らかに少ないとされています。(アミロース低減性遺伝子の副作用とのこと)
その為、千粒重は『ひとめぼれ』(22.5g)に比して重い23.1gですが、収量性は522kg/10aと『ひとめぼれ』(563ka/10a)に劣り、懸念材料の一つとされています。
また、前述の通り長稈の部類に入るため、耐倒伏性は「やや弱」との判断で、この倒れやすさも欠点とされています。
葉いもち圃場抵抗性は「やや弱」、穂いもち圃場抵抗性は「中」で、真性抵抗性遺伝子型は【Pii】と推定されます。
耐冷性は『ひとめぼれ』並の「強(旧・極強)」と強いですが、高温耐性(高温登熟耐性)については「やや弱」と判断されています。(『ひとめぼれ』の高温耐性は「中」)


日本穀物検定協会の食味ランキングでは大苦戦*商品そのものの評価ではありません。

岩手県が満を持して繰り出した『金色の風』でしたが、多くの産地品種が高品質を謳うにあたって一種の登竜門、「特A」(基準米より特に良好)を狙う穀検の食味ランキングでは大苦戦を強いられています。

平成29年度に参考品種として参加しましたが、評価は上から二番目の「A」(基準米より良好)
この年は正式参加となった『銀河のしずく』も「A」評価となり、岩手県はかなり肩を落としたことでしょう。

雪辱を誓ったであろう平成30年度も同じく参考品種として参加。
しかしながら上がるどころかさらに一段階下げて「A'」(基準米と概ね同等)とまたもや最高評価を受けられず。

元号変わって令和元年度は…なぜか正式参加なし。
一部報道では「審査の基準となる作付面積1,000haに届かず、参考品種は2年のみの審査の為、審査の対象にならなかった」と言っているところもあります。
ただ、作付面積1,000ha以下の品種なんていまやちらほら(福井『いちほまれ』、神奈川『はるみ』)ありますから、これは少し古い基準のことを言っており、正確ではないように思われます。

評価が散々だったことから新潟県の『新之助』のように、岩手県では食味ランキングには参加しないことにした…のではないでしょうか?(憶測です)



育種経過

岩手県において作付け面積全体の7割を占める『ひとめぼれ』は「極強(旧)」の耐冷性を活かし、冷害が多い当県における高品質米の算出に大きく寄与していました
県の1等米比率も2016年まで10年以上90%以上を維持するなど品質は高く、穀検の食味ランキングで『岩手県県南産ひとめぼれ』は同一品種同一産地最多の13年連続特A記録を持つほどです。
そんな高品質の岩手米ですが、市場取引価格は全国銘柄平均を下回り、全国上位の品種銘柄と比較すると1俵当たり3,000~8,000円もの価格差がありました。
これは山形県の『はえぬき』の状況と酷似していますが、高い玄米品質と食味評価を受けながら価格は安いという、岩手県からしてみれば適正な評価を受けていないと感じるに十分な状況です。

『ひとめぼれ』や『コシヒカリ』に替わって岩手県産米全体の市場評価を高め、かつそれら品種と同等の相対取引価格が期待できる岩手県最高級品種の育成が望まれていました。
『金色の風』はそんな岩手県において、県南部の特A評価栽培地向けとなる極良食味品種を開発目標に、(公財)岩手生物工学研究センターと岩手県農業研究センターの言わば”合作”で育成されました。

『金色の風』の交配母本は『Hit1073』、父本は『ひとめぼれ』です。
『Hit1073』は『ひとめぼれ』の突然変異低アミロース個体、『ひとめぼれ』は前述の通り岩手県の主力良食味品種です。

母本となる『Hit1073』の育成は、平成17年(2005年)から開始されました。
平成17年(2005年)、公益財団法人岩手生物工学研究センターにおいて2万個体の『ひとめぼれ』(の穎花)に対してエチルメタンスルフォネート(EMS)処理を行い、突然変異を誘発させます。
この年は9,300個体を栽植し、内2,709個体を選抜しています。
(ちなみに【12,000系統の『ひとめぼれ』突然変異系統から選抜】と各所で記述されていますが、「12,000」という数字は後にも先にも出てきません。『岩手118号』の育成には係わらない研究系統全体の事を言っているのかも知れませんが、兎に角ここでは『金色の風』育種論文に沿って記述します。)

平成17年(2005年)から平成19年(2007年)にかけては前述の2,709個体(系統)の突然変異系統について、各系統10個体栽植し養成が行われました。
平成20年(2008年)は栽植が行われず、種子の保管が継続されただけです。
保管年明けて平成21~22年(2009~2010年)の2ヶ年、岩手県農業研究センター圃場で有用変異体の選抜が実施されます。
ここでアミロース含有率が『ひとめぼれ』に比較して2~3ポイント安定して低く、食味官能値の高い『Hit1073』が選抜され、平成23年(2011年)は『Hit1073』のアミロース含有率の年次変動について確認を行っています。

時はほんの少し遡って平成22年(2010年)、育成された低アミロース系統『Hit1073』を母本、『ひとめぼれ』を父本とした人工交配(温湯除雄法使用)が岩手県農業研究センター作物研究室で実施され、3粒の種子を得ました。
同F1世代3個体は平成22年(2010年)12月から平成23年(2011年)3月にかけて温室内での養成が行われます。

翌平成23年(2011年)、F2世代76個体の中からMutMap法※により、アミロース含有率が『ひとめぼれ』比で2~3ポイント低い19個体を選抜します。
平成24年(2012年)F3世代は前述の19個体を19系統として養成し、19系統57個体が次年度の試験用に選抜されます。

平成25年および平成26年、生産力検定試験および特性検定試験に供試され、葉・穂いもち病圃場抵抗性検定、いもち病真性抵抗性遺伝子型の推定、生涯型耐冷性検定、穂発芽性検定及び食味官能試験が実施されます。
選抜課程としては、平成25年(2013年)F4世代は19系統57個体を19系統群57系統として系統養成されます。
この中から玄米品質あるいは食味官能評価の優れる12系統群12系統(各系統5個体)を選抜し、各系統群に『岩1229』~『岩1240』の試験番号が付されます。
平成26年(2014年)F5世代は、前年の12系統60個体を12系統群60系統として栽植します。
そしてこの中から、出穂後の枯れ上がりが少なく、草姿の優れる『岩1237』1系統5個体が選抜されます。

平成27年(2015年)、直近2ヶ年の試験の結果『岩1237』は熟期、いもち病抵抗性、耐冷性といった特性が『ひとめぼれ』並であり、食味は『ひとめぼれ』に優るとの判断がなされ、『ひとめぼれ』を超える極良食味の晩生品種として期待できると判断されます。
『岩手118号』の地方系統名が付され、奨励品種決定調査供試系統として配布されることになりました。
奨励品種決定調査は岩手県農業研究センター(北上市)で基本調査が実施され、そのほかに奥州、一関の2箇所で現地調査を実施しています。
この年のF6世代は前年の1系統5個体を1系統群5系統として栽植し、1系統10個体を選抜しています。

平成28年(2016年)も奨励品種決定調査を継続します。
基本調査に加え、金ケ崎(農業大学校)、奥州、一関の3箇所で現地調査を実施しています。
ちなみにF7世代は『No.1』~『No.10』の10系統を栽培し、内『No.5』が廃棄されます。
しかしながら新たに1系統が養成された(育成系統図では元の『No.9』から新系統『5』『9』に分離したようにも見えるが明記されていない)ので、最終的に全体で年度当初と同じ10系統を維持しています。
そしてこの年の12月に『金色の風』との名称が発表されました。

育成地での調査結果及び奨励品種決定調査の結果、『岩手118号』は『ひとめぼれ』と同等に良質で、強い耐冷性を有し、『ひとめぼれ』を上回る食味を持つ系統であることから、平成29年2月に岩手県の奨励品種に編入することが承認されました。
ただし試験の結果、やや長稈で倒れやすいことと、収量が『ひとめぼれ』に劣ることも明らかになっています。

育種最終の平成28年(2016年)時点でF7世代。
若干若い気もしますが、ほぼ『ひとめぼれ』同士の掛け合わせなので固定も早いという事でしょうか?

県南の『ひとめぼれ』特A評価地区に置き換わっての普及を見込み。
でしたが、令和5年(2023年)の全農岩手県本部発表によれば、『金色の風』の生産量は1,000トンを維持するとのことで、かなり生産量は制限する方針のようです。

系譜図
岩手118号『金色の風』系譜図


参考文献


○「金色の風」開発の物語:http://www.iwate-kome.jp/konjiki/

○やや低アミロース性の主食用水稲品種「金色の風」の品種特性:岩手県農業研究センター・岩手生物工学研究センター




関連コンテンツ







2017年12月18日月曜日

【粳米】青系187号~青天の霹靂~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『青系187号』
品種名
 『青天の霹靂』
育成年
 『平成26年(西暦2014年) (独)青森県産業技術センター農林総合研究所』
 ※交配は青森県農林総合研究センター時代
交配組合せ
 『F1【夢の舞×青系157号】×青系158号』
主要産地
 『青森県』
分類
 『粳米』
青天の霹靂ッ!!!だよ!


「こんにちは、さっぱり」

登場も命名もまさにその名の通り、『青天の霹靂』の擬人化です。


どんな娘?

お馬鹿な娘。(いや違うんですよ愛着を込めてですね…)

本州最北の地、青森県でも育つ元気さと活発さを兼ね備えた娘。
万事小さい事にはこだわらない&人懐っこい性格。

今のところ精神年齢が(なぜか)幼いので、今後大きく成長する可能性も。
お馬鹿じゃなかった天然。


概要

農業王国ながら極良食味米(ブランド米)というジャンルでは後塵を拝し続けてきた青森県がついに得たエース米。


品種名の『青天の霹靂』は、弥生時代最北の水田があった青森県の「青」、北の空の「天」、雷鳴の「霹靂」をイメージ(って言われても諺としての”青天の霹靂”イメージが強すぎて…)。
青森県の澄んだ空に突如現れた稲妻のように鮮烈な存在になってほしい、食べた人たちを驚かせるほどのおいしいお米になってほしい、との願いが込められています。

とは言え
ネット上ですら天の霹靂”の誤字が目立ち、ことわざなんだから手書きできなくても変換ぐらいちゃんとしようよ…と思ったり思わなかったり。
”霹靂”を手書きで書けというのは大変だとは思いますが”青天”くらいは…


程よいツヤと、柔らかな白さ。
粘りとキレのバランスがいい、上品な甘みの残る味わいのお米です。
平成26年(2014年)産米で青森県産米として初めて日本穀物検定協会食味ランキングで特A(参考)を獲得、さらに平成27年(2015年)に本ランキングでの特Aを獲得し、その評価を確固たるものとしました。

彼女の期待される役割は”青森県産米の牽引役”
そんな『青天の霹靂』は他県の例に漏れず、品質優先です。
10a当たりの収量は9俵(540kg)程度とし、作付け地域も登熟気温が確保できる津軽中央と津軽西北の良食味生産が可能な水田に限定されています。
他にもタンパク質含量6.4%以下(水分15%換算・目標は6.0%)、検査等級は1等か2等に限定といった出荷基準が設けられ、生産者も登録制です。
生産者には種子更新率100%(毎年種籾を買う)は当然として、土壌診断に基づく土壌改良の実施、農薬使用回数は通常の半分以下、栽培管理記録の記帳といった栽培基準に取り組む必要があり、青森県の良食味生産推進にかける意気込みが見て取れます。(とは言えこういった縛りが農家側からは不評…に思える節もあるのですが)

ブランド米生産支援システム「青天ナビ」も開発。
衛星画像を利用して『青天の霹靂』の生育状況を分析し、追肥や収穫の判断に用いるなど、結構ハイテクな取り組みも行っています。

そんな取り組みで”優秀な青森県産米の看板灯”としての役割を立派に果たしている『青天の霹靂』。
「青森県にはこんなおいしいお米があるんだよ」という事を知ってもらいたいがための宣伝としての特A獲得、品質保持と言う面が強かったかもしれませんが、今や単なる看板役ではなく、名実共にトップブランド米達に並ぼうかという勢い。
後輩品種の『はれわたり』を迎え、どのような立ち位置になるか、注目ですね。

育成地における熟期は「中生の中」に属し、草型は「偏穂重型」の品種です。
稈長は「やや短稈」(76~77cm)で、耐倒伏性は『つがるロマン』以上『まっしぐら』以下の「やや強」と倒れにくい品種となっています。
粒はやや大きめ(縦長)で、千粒重は22.8~22.9gです。
収量性は『つがるロマン』に優り、『まっしぐら』並の約610kg/10a程度です。(多肥試験で713kg/10a)
試験時のタンパク質含有率は6.5~6.7%、アミロース含有率は16.1~16.4%で極良食味と評されています。
いもち病抵抗性は、葉いもちが「極強」、穂いもち「強」と優れています。
真性抵抗性遺伝子型は【Pia】【Pii】と推定。
耐冷性も「強」といずれも前代主力の『つがるロマン』『まっしぐら』にやや勝る非常に優れた栽培特性を持ちます。


需要はありながら伸びない作付け

知事を筆頭(?)とした広報活動、印象的な名前・パッケージなどで市場での知名度、そしてその食味の良さを広げている『青天の霹靂』ですが…
平成31年/令和元年(2019年)より絶対量が足りていないという深刻な事態に陥っています。

2019年産米に向けた『青天の霹靂』、青森県の予想需要は1万262トン、作付面積にして2,138ヘクタール。
しかしながら、前年より20日間近く申請期間を延ばしたものの生産者登録は前年より16%減の708経営体(『青天の霹靂』の作付には事前の登録が必要)。
結果、2019年『青天の霹靂』の作付面積は1,566ヘクタール(前年比△323ヘクタール)にとどまる見込みとなり、予想需要の7割程度しか確保できませんでした。
もともと厳しい生産基準に加えて、追い打ちをかけたとされるのが「2018年産の不作」です。
猛暑が厳しい年でしたが、ただでさえ(主力の『まっしぐら』に比べて)収量目標が低い『青天の霹靂』がさらに天候不順により不作となり、農家の収入を直撃したと言われています。
翌2020年(令和2年)産は申請時点で692経営体、作付1,631ヘクタール、収量予想で7,800トンを確保の予定となりました。
2019年の栽培実績1,550ヘクタールより、一経営体あたりの作付面積が増えたことで81ヘクタールほど増える形となりましたが、やはり需要1万トンには届いていません。

2021年度(令和3年)は1866haになる予定(前年比実績+251haだそうです)。
大分増えましたがまだまだか・・・

 予想需要に生産量が届かないということは、本来『青天の霹靂』が流通するはずだったルートに、別品種が流通することを意味します。そして一度失った流通ルートを取り戻すことは容易ではありません。
 『青天の霹靂』にとって、天候不順時にも安定した収量を得られる栽培技術の確立が急務であり、試練の時が続きます。
ブランド化が正解か、業務用米が正解か、それは誰にも確実な未来は見通せない以上、ナニが正解かなど分かりませんが…いずれにせよ生産者当人の選択がどのような未来に繋がるのかは今後も注目ですね。


そんな彼女は非常に珍しい『コシヒカリ』の”来孫”です

○毎年10月10日は彼女、『青天の霹靂』の日です!覚えておこう!(誰得)
 【制定由来:1010=センテン=青天】


名称公募

平成26年(2014年)6月、”お米の食味ランキングで最高ランクの「特A」評価獲得を目指す品種”として『青系187号』の名称公募を青森県産米需要拡大推進本部が名称公募を実施しました。

ふっくらとして「つや」があり、味も良く、特に粘りと硬さのバランスが良く「こし」がある特徴のある米、と表現されています。

応募期間は平成26年6月16日から7月18日までの約1ヶ月間。
応募方法は専用ホームページからの申し込みか、ハガキによる応募。
ホームページは締め切り日18時が最終、ハガキは当日消印有効。

採用された名称応募者に送られる最優秀賞は賞金20万円に加えて副賞「青森県産農畜産物ギフト1万円相当」、さらに『青系187号』10kg(試食用サンプル)となかなか豪勢。
なお、この「最優秀賞」は応募した名前がそのまま採用された場合の賞であって、仮に応募された名前を元に青森県が補作した場合は「優秀賞」が1乃至2名に授与されるとされていました。
そんな優秀賞は賞金5万円と副賞「青森県産農畜産物ギフト5千円相当」、さらに『青系187号』10kg(試食用サンプル)だそうです。
…優秀賞って次点名称候補者に贈られるものだと思ってましたが、この名称公募についてはちょっと毛色が違ったようですね。

県内外を特に問わず、応募件数にも特に縛りは無く、広く公募が行われ、最終的に11,049件の応募が集まりました。
青森県産米需要拡大推進本部が設置したマーケティングに関係する大学教授や大学生、消費者団体や集出荷団体の関係者等11名で構成する「新品種名称選考委員会」は、この中から候補を5つまで絞り込みます。
その5つの候補の中から最終的に青森県が選定したのが『青天の霹靂』です。
(なお他4つの候補名は、あくまでも応募者に権利が帰属するので発表できないとの青森県のスタンスのため、不明です)


平成26年11月5日に行われた臨時の知事記者会見で、三村知事(当時)により名称発表が行われました。(なぜ臨時かと言えば、商標登録出願の発表が確認できたタイミングで行ったため…と言って何のことか分かります?)
応募者(野辺地町の志田氏)によれば「青森の天からふりそそぐ自然からできた、まるで青天の霹靂のような驚くほど美味しいお米」をイメージしたとのこと。
三村知事(当時)も「もうすごい自分としてもいい名前出してもらったなぁ」とご満悦の様子でした。


同年12月10日に行われた「あおもり米ファン感謝祭」において『青天の霹靂』命名者の表彰式が執り行われ、同時にあの特徴的なロゴデザインの発表も行われました。


育成経過

育種期間は福井県が宣っている『いちほまれ』に準拠するとなんとわずか3年である(キリッ!)←管理人のです(念のため)

改めて
米どころと知られる東北に加えて、平成に入って不味い米「やっかいどう米」の汚名を見事に返上した北海道が日本穀物検定協会で次々と特Aを獲得する中、唯一青森県だけがこの地域で特A獲得銘柄無し…という状況でした。
主力品種の『つがるロマン』『まっしぐら』などが、適度な食味と手頃な値段をウリとして県外で業務用として一定の評価を得てはいましたが、県産米のイメージアップと評価向上の牽引役となる新たなブランド米が待ち望まれるようになります。
そのような状況に対応するため青森県で行われてきた極良食味品種育成の中で、熟期が「中生」、耐倒伏・耐冷・耐病性に優れた極良食味品種を目指して交配が実施されます。(この時点では青森県農林総合研究センター)

温湯除雄法による交配は平成18年(2006年)8月。
母本が『北陸202号(夢の舞)』×『青系157号』のF1(雑種第一代)、父本が『青系158号』の三系交配で、交配番号は『青交06-52』です。

◆F1【『北陸202号』×『青系157号』】
多収でいもち病耐性の優れる『青系157号』に、『北陸202号(のちの『夢の舞』)』の良質・良食味を導入する目的で交配されたものです。
『北陸202号』の熟期が育成地において「極晩生」に属するため、この交配後代からでは「中生」熟期個体の出現数が少なくなることが懸念されました。(せっかく栽培特性と良食味を両立した個体が出てきたとしても、熟期が遅いと採用できない)

◆『青系158号』
育成地における熟期が「中生」の品種で、食味と耐冷性に優れる系統です。
母本であるF1に交配することで、「中生」熟期の交配後代の出現率を上げる目的で交配されました。

この交配から104粒の種子を得て、同年10月から平成19年(2007年)3月にかけてF1の世代促進栽培が実施されます。
104粒全てが播種されました。
平成19年(2007年)4月から平成20年(2008年)3月の期間はF2世代からF4世代まで世代促進が図られ、各世代約2,000粒を播種、全刈り採種されています。

平成20年(2008年)4月からF5世代90gを播種し、圃場に1粒1株植えとして約2,000個体の中から個体選抜が実施されます。
立毛観察では「中生」熟期の個体が80%、「晩生」個体が20%で、この点は当初の三系交配の目的は概ね達成できたとみることができるのではないでしょうか。
また稈長は「短稈」~「中稈」で、強稈で良型の個体が多いことから全体で「やや良」と評価されています。
これらの評価を元に207個体が圃場で選抜され、さらに室内で玄米品質調査が行われ、その結果81個体が次年度の系統種子として残されます。
白未熟粒の発生が多いことから玄米調査全体の評価としては「やや不良」とされています。

平成21年(2009年)、育種とは直接関係ないかもしれませんが、この年に青森県農林総合研究センターが地方独立行政法人青森県産業技術センター農林総合研究所に他機関と共に統合されています。
この年のF6世代から系統栽培による栽培と固定が進められていきます。
前年の81個体を81系統(1系統あたり24個体)として、障害型耐冷性及び葉いもち抵抗性検定にも供試されます。(『09PL1618』~『09PL1698』の81系統)
固定度、草型、熟期、いもち病抵抗性、玄米品質などを総合的に検討し、12系統が選抜され、各系統3個体を次年度の系統として残します。
なお、このF6世代における『09PL1687』が後の『青天の霹靂』となる系統です。


平成22年(2010年)F7世代は前年の12系統36個体を12系統群36系統として、1系統当たり60個体の系統栽培を継続。
さらに生産力検定予備試験、いもち病抵抗性、障害型耐冷性、穂発芽性などの各種特性検定に供試されます。
これらの検定の結果を総合的に判断し、2系統(各系統5個体)を選抜して『黒2391』『黒2392』の系統番号を付与します。(後者『黒2392』が後の『青天の霹靂』)
『黒2392』のこの時点での総合評価は「良」で、稈質が強く収量性は『つがるロマン』並、いもち病耐性、耐冷性も強く、良質・極良食味と評されています。

平成23年(2011年)F8世代は前年の2系統10個体を2系統群10系統(各系統60個体)として系統栽培。
系統群『黒2391』は『11PL3141』~『11PL3145』の5系統、系統群『黒2392』は『11PL3146』~『11PL3150』の5系統です。
またこの年より生産力検定本試験及び特性検定試験及び系統適応性検定試験に供試されています。
岩手県農業研究センターにおいて育成地相互交換系統適応性検定試験も実施されています。
熟期、収量、玄米品質、障害型耐冷性、いもち病抵抗性などの特性を総合的に判断し、『黒2392(『11PL3149』)』を有望として『青系187号』の地方系統番号を付し、奨励品種決定調査への配布が決定されます。

平成24年(2012年)、”青森県にも特A品種米を”の声が高らかに上がったのがこの年。(研究課題名「あおもり米優良品種の選定試験」・県単予算・2012~2014年度)
当時有望視されていた他4品種『青系172号』『青系180号』『青系181号』『青系182号』とともに『青系187号』もこの選抜に臨みます。
基本的な系統栽培(1系統群5系統各系統60個体)、生産力検定本試験、特性検定試験は継続しつつ、前述の選定試験に供試され、地域適応性等奨励品種候補としての検討も始まります。
この年は前述した5品種の中から『青系172号』『青系187号』の2品種が選考に残ります。


平成25年(2013年)からは青森県重点推進事業(あおもり米新品種「特A」プロジェクト事業)により、津軽地域の9カ所で特性調査等の現地試験を実施し、日本穀物検定協会他関係団体に食味についての検定・検討を依頼します。
各種試験や農家での栽培、日本穀物検定協会の食味官能試験の結果を経て、『青系187号』が先輩格の『青系172号』を下し、特A獲得を目指す青森県の”極”良食味品種として名乗りを上げることになります。
『青系187号』は炊飯米の外観、味、食感が良いとの高い評価を得、栽培面においても耐倒伏性や耐冷性、耐病性が優れていることから平成26年(2014年)2月に第2種認定品種(奨励品種の前段階として試験的に市場調査を行う品種)に指定されます。
そしてこの年のF10世代で育成が完了したとされており、育種期間は少し短めの8年です。

平成26年(2014年)は同試験・同事業は継続されており、良好な特性と良食味性が再確認されています。
同年6月には、名称公募が行われ、11,049件の応募の中から『青天の霹靂』と命名されました。
さらに同年産(2014年産)の食味ランキングが平成27年(2015年)2月に発表され、『青天の霹靂』は参考品種ながら青森県産米初にして悲願の特Aを獲得します。
そして平成27年(2015年)4月に青森県の奨励品種に指定されることになります。



日本全国津々浦々に農業試験場があり、数多くの品種があると言っても、青森県の育種はそう簡単にはいきません。
青森県の特殊な環境に適する品種は、他地域とは全く違うからです。
県外で優秀な品種があるから奨励品種に使おう…ということが気軽に行えないのです。
特殊…と言うよりも稲にとって過酷な環境下で生まれた『青天の霹靂』はまさに青森県の何十年という育種、技術・努力・実績、その結晶といっても過言ではないでしょう。(正直この点、どこぞの『い○ほまれ』のエセ宣伝とは訳が違います。)



※当初はKayさんからの情報提供を頼りに執筆させていただきました。
 ありがとうございます。


系譜図

『山形40号』がいっぱい見えます。

青系187号『青天の霹靂』 系譜図


参考文献


〇青天の霹靂公式HP:http://seitennohekireki.jp/

〇あおもり米新品種名称発表について[臨時]H26.11.5

〇水稲新品種'青天の霹靂'の育成:青森県産業技術センター農林総合研究所研究報告第43号



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2017年12月10日日曜日

つぶやき四コマ『西海ってさ…』

新しい酒造好適米っ娘たちを作成中。
そんな今日の出来事…

ずーっと『西海134号』、さ・し・す・せ…せいかい…せいかい…ない!?
って米品種大全の無印~5、あと酒米ハンドブックで小一時間探してました…

いや東西~とうざい~ですし…関西~かんさい~ですし…
「西」ったら「さい」なんですけど、なんでかずっと脳内再生「せいかい」でした

というどうでもいい話。でした。


※『西海134号』
 現在佐賀県でのみ銘柄指定。
 山田錦を父本に耐倒伏性と耐病性の改善が行われた。
 ただし酒造適性はあまり高くない様子。
 実用品種としては珍しく姉妹品種の『西海135号』がある。

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