2016年3月29日火曜日

【粳米】山形95号~山形95号~【特徴・育成経過・系譜図・各種情報】

地方系統名
 『山形95号』
品種名
 『山形95号』※商品名については自由命名可能
育成年
 『平成25年(西暦2014年) 山形県農業総合研究センター水田農業試験場
交配組合せ
 『山形59号×ちゅらひかり』
主要産地
 『山形県』
分類
 『粳米』


山形95号、よろしくおねがいします


どんな娘?

つや姫とは同期。
華々しくデビューを飾り、表舞台で活躍する彼女とは相対的に、どちらかと言うと裏方での活動が多いです。

後輩の雪若丸の登場もあってすっかり影が薄くなってしまいましたが、それでも山形95号は厳しい環境で黙々と働く忍耐強い娘。
はえぬき同様自己主張が少し苦手ですが、誰かに引っ張ってもらえる形ならばそこそこ喋れる方。

いろんな名前で呼ばれるため、アイデンティティーが揺らぐ時も。
彼女自身はつや姫と似通った商品名「星ひめ」がお気に入り。


概要

山形県産米で大躍進中の山形97号『つや姫』。
その『つや姫』と最終選考まで残って敗れたのがこの『山形95号』…としているサイトもありましたが、これはどうにも根拠が見当たりません。


多くの宣伝、推進イベントをもって大々的にデビューした『つや姫』とは対照的に、『山形95号』はひっそりとデビューしました。
品種名もそのまま『山形95号』。
商品名は各自治体等、販売者が自由に決めることができるのが最大の特徴。
現在把握しているのが…

・最上町『夢まどか』
・尾花沢市『雪きらり』
・JA全農山形『ひだまり』
・JAみちのく村山『村山日和』
・サロンいっぷく(米沢市六郷町桐原)『星ひめ』
・藤助(高畠町上和田)『かぐや姫の詩』

となっており、以上の商品名が”商標”、『山形95号』は”品種名”という扱いです。



加えて、『山形95号』が目指すところは”有機栽培の促進”。

耐倒伏性は「中」、障害型耐冷性は「極強」、収量性は『はえぬき』にやや優ります。
葉いもち病・穂いもち病抵抗性共に「強」となっており、
特に平成16~21年の間に行われた穂いもち病激発ほ場での試験結果では、『つや姫』『はえぬき』が200kg/10a程度の収量に落ち込んだのに対して、380kg/10aと安定した収量が確認されています。

このような特性を生かして、『山形95号』は中山間地での特別栽培・有機栽培(減農薬)での作付を想定しており、『つや姫』『はえぬき』とのすみわけが可能です。
この品種特性による有機栽培における減収のリスク回避に加えて、乗用除草機や紙マルチ田植機の乗用機械除草を組み込んだ低コスト新技術体系の整備により、有機栽培米のよりいっそうの拡大を図ることを目標としています。


一粒一粒が大きく、甘みがあります。
炊飯光沢が優れる『はえぬき』並みの良食味品種です。




育種経過

『山形95号』は育種情報が乏しいですが

『山形97号』と共に育種が開始されたのは平成10年(1998年)。
この年、山形県は「次期主力品種の育成」を目標に

①高度耐冷性の早生品種
②環境保全型稲作に対応した耐病性品種
③熟期、地域性を考慮した中生銘柄品種
④省力・低コストの品種

の開発を目指した、とされています。(論文「つや姫の育成」より)

平成10年(1998年)に母本『山形59号』、父本『ちゅらひかり』として人工交配。
平成16年(2004年)F8世代から『山形95号』の地方系統番号が付され、奨励品種決定調査に供試されました。
収量性・品質・食味及びいもち病圃場抵抗性「強」が安定して優れていることから極有望と判断、平成22年(2010年)1月に山形県の奨励品種(認定品種)に採用されました。



系譜図

品種名が『山形95号』とは少し味気ない気もしますが、いろんな名前の『山形95号』、売れてくれたらいいなぁ、と思います。

山形95号 系譜図

参考文献

〇良食味で、いもち病圃場抵抗性が強い水稲新品種「山形95号」の育成:山形県農業総合研究センター


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